EX-2 歩きを極める

・スピードが遅い
僕は昔「足が遅い」選手でした。
持久力は人並み程度にあるのに、短距離のスピードがすごく遅い。
中学校1年生の時の50m走のタイムは9秒00でした。
高校1年生の時では7秒80で、
高校3年生の時でも7秒40だった記憶があります。

そのため、チームメイトには迷惑をかけてばかりいました。
前方のスペースへスルーパスを出されても、追いつけない。
ディフェンスをしているときも、相手への寄せが遅い。
だからどうしても強いプレッシャーをかけられず「もっと厳しく
当たりに行け!」と怒鳴られることもしょっちゅうでした。

ですが僕は、その足の遅さを改善するトレーニングを作りました。
2005年春のことです。それ以来多い日には1日に5時間以上の
そのトレーニングを行い、やり方の小さな改良を続けてきました。

ここで、その「足を速くする」ためのトレーニングを教えようと
思います。

・歩きを極める
このトレーニングで大切になるのは「歩くこと」です。僕は
歩くフォームを改良することにより、走るスピードおよび瞬発力を
高めることを目指しています。
歩くフォームがキレイになれば、自然に走るフォームも美しく
なります。無駄な力の抜けた、効率の良い走り方ができるように
なります。
では、やり方を紹介しましょう。

やり方
(1)普通に歩く
まずはただ、何も考えずに歩きます。

(2)体のどの筋肉を一番使っているか感じる
歩きながら「私は体のどの部分の筋肉を一番使っているだろうか?」
と、自分の体に耳を澄ませてみます。

ここではその答えが「太ももの前側(通称 もも前)」であった
と仮定して話を続けます。

(3)その部分をさすって意識を高める
太ももの前側を手でさすります。
慣れてきたなら、この(3)は省略していいです。

(4)その部分の力を抜きながら4歩、歩く
「もも前の筋肉の力を抜いて、柔らかくして」と意識しながら
歩いてみます。すると、いつもとは違う歩き方になるはずです。
何となくぎこちないかもしれませんが、その歩き方で4歩
歩きます。

(5)普通の歩き方で4歩、歩く
これまでどおりの、普通の歩き方で4歩歩いてみます。

(6)4と5を2、3回交互に繰り返す
「普通の歩き方」と「新しい歩き方」の2種類を交互に
繰り返すのです。

(7)何も考えずに普通にただ、歩いてみる
しばらくの間歩いてみましょう。(1)のときや(4)のとき
とも違う、微妙な感じがする歩き方になっているはずです。
その2つの中間に位置するような。

トレーニングは以上です。

・「ゆる体操」の改良版
このトレーニングの原材料は高岡英夫さんの「ゆる体操」という
健康法です。
一日数分間の実践だけで驚くほど体が柔らかくなる。
そんなすばらしい方法論です。
僕も実際にやってみましたから、そのすごさは
とてもよく分かります。

ですが僕の場合、その「数分間」の実践さえも苦痛になって
しまいました。
なぜなら、上達しないから。
自分の体が柔らかくなっていくのかどうかが客観的に
判断しにくいのです。

その点を考慮し、僕が自分向けに改良したのがこの
「歩きを極める」です。
「今、一番使っている筋肉を緩める」という作業なので
自分の体が変化していくのがとても理解しやすい。
僕はこれを始めてから一年の間
もも裏→お尻→すね→かかと→足の指→背骨あたり
というように「一番使っている筋肉」が変化していきました。
そして更に、必要な練習時間は一日10秒前後。
あとはただ歩くだけで、体が柔らかくなります。
普段当たり前に行う「歩く」という行為を磨き上げるからこそ
こんなことが可能になるのです。
わざわざ時間を取って「何か」をする必要がないのですから。

・分からない
体のどこを一番使っているのか分からない。
そんな人は、少しずつ絞り込んでみましょう。
体の中で一番使っているのは上半身、下半身のどっち?
下半身という人は、太もも、ふくらはぎ、足首のうちどの部分?
前側?裏側?
このように自分に質問を問いかけ絞り込んでいくと
どの部分を一番使っているのかが分かります。

それでもよく分からない。
そして
・さすっても力が抜けない。
そんな人は、ゆる体操をやってください。
一日一回、5~15分の実践を一ヶ月続けてみよう。
すると「体が柔らかくなったな」と感じ始めるはず。
その頃にはもう、「どこを一番使っているのか」を
感じられるようになっていると思います。

・それでも無理なら
人によっては筋トレ(筋力トレーニング)を継続した
方がよい、というケースがあります。
またストレッチも自分の体の自覚を高める上では
効果的な手段の一つです。

「ゆる体操」「筋トレ」「ストレッチ」を継続しても
まだ駄目なら僕が教えます。
ブログなどネット上でのやり取りになるとは思いますが。

・忘れたとき
この実践を始めてしばらくの間は、忘れてしまうことが
あるでしょう。
夜になって「あ!そういえば今日やり忘れた!」と思い出す。
そんなことがあるはずです。
今の僕でもよくありますから。

そんなときは今、やってください。
家の中で数歩だけ歩き、このトレーニングを行うのです。

・やりすぎず、こだわらない
だからといって、この「歩きを極める」のトレーニングに
のめりこみすぎないでください。
あくまで軽い気持ちで、保険のようなつもりで行う方がいいでしょう。

また、これは一日1回行うだけで十分です。
慣れてくれば自然に日常生活の中で1日5回くらい行えるようになりますが
肩肘を張って「よし、やるぞ!」と意気込んで練習する。
そんなやり方はこの「歩きを極める」には向いておりません。
あくまで普段の毎日の歩行のなかで、ふと思いついたときに行う。
そんな原則を忘れないようにしてくださいね。

この「歩きを極める」のトレーニングを、軽い気持ちで
一日1回10秒だけでいいですから、気長に続けてくれる人が
一人でも現れることを願っています。

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