no.2 どうすればうまくなれる?

「日本代表のあの青いユニフォームを着たい!」
「プロサッカー選手になりたい!」
「レギュラーになりたい!」
「もっとうまくなりたい!」
そう思っているあなたは、毎日の練習を集中して懸命にやっているはずです。
家に帰ってからも、見えないところで努力を重ねているはず。

でも、これまであなたは「考えた」ことはありましたか?
この努力の方向が正しいのか。
この練習を続けて本当にうまくなれるのかなって。

では今ここで、考えてみてください。
この質問に、答えてみましょう。
「あなたはどうすればレギュラーになれますか?」
「自分の何が上達すれば、あなたはプロになれる?」

どう?答えが浮かんでこないのではないですか?

そんな人は、これまで「考えて努力」してこなかったということ。
一生懸命練習しさえすればうまくなれる。
そう思っていたのではありませんか?

・練習すれば、うまくなれる
前ページの内容と矛盾していますが、これは事実です。
「何か」を練習すれば、「何か」が上達する、
これは真実。

一生懸命走れば、体力がつく。
腕立て伏せをやれば、上半身の筋肉がつく。
ロングキックをたくさん蹴れば、キック力が上がる。
居残って基礎練習をすれば、基本が上達する。

でもね。僕が質問したいのは
それが上達して、あなたはレギュラーになれるの?
ということ。
こんな風に考えてみようよ。

体力がつけば、あなたはレギュラーになれる?
もしあなたが「レギュラーになれないのは体力がないせいだ」と
感じているのなら、ランニングするのは良いことだ。だがすでに
人並み程度の体力があるならば、体力強化よりも「自分の武器を
磨く」「欠点を克服する」という方向へ努力した方がいい。

上半身の筋肉が立派になれば、あいつからポジションを奪える?
もちろん「今競り合いの弱さで困っている。激しくチャージ
されてボールをいつも取られてしまう」というのならば、筋トレを
してもいいと思う。だが「筋肉を鍛えれば俺は試合に出れる」という
という確信がないうちは、やめた方がいい。ただ何となく筋トレする
だけでは、あいつらには追いつけない。

ロングキックが正確になれば、試合に出るチャンスをもらえる?
もちろんあなたが「どうすれば正確なロングパスが蹴れるように
なるのか」について試行錯誤して、誰にも負けない長所として
「ロングパス」を使いたいなら、それで構わない。しかし
「ただ何も考えずに、友達と練習する。半分遊びでパス交換を
するだけ」ならば、決してあなたのキックの正確さは伸びることは
ないだろう。頭を使わない単調な練習では、キックは伸びない。

基礎練習を続ければ、あなたの実力はアップする?
「俺はヘディングが苦手だ。だからできるようになるために
練習する」というように、はっきりした目的意識を持って
基礎練習をするのならばOKだ。だが多くの人はそんなことは
していない。「とにかくたくさん基礎練習をしておこう」と
何も考えずにボールを蹴るだけでは、何の役にも立たない。

あなたが「上に行きたい!」と思っているのならば
「どうすれば上に行くことができるのか」と考えながら練習しよう
よ。「ただ何となく、たくさん練習する」だけでは無駄が多いよ。
頭を使いながら、練習を続けようよ!

・どうすればうまくなれるのか
では、ここで真剣に考えてみよう。
「あなたは何を高めればレギュラーになれますか?」
プロの選手や本、近くの友達を見て
よーく考えてみよう。
答えは人それぞれだから。

あなたが目指すべきもの。それは…
絶対に抜かれない完璧なDFの技術?
相手が後ろを向いたら決して前へ向かせない。
どんなに足の速い選手にも抜かれない。裏へ走らせない。
近すぎず遠すぎずの位置を保ち、常にインターセプトを狙う。
フェイントの動きに惑わされずボールをしっかり見て、相手の
エースを完全に抑え込む。
そんなディフェンダーになれば、レギュラーになれそう?

それとも、敵陣を切り裂く華麗なドリブル?
シンプルなキックフェイントで飛び込んでくる相手を振り切り、
ゴールのニアサイドへ低くて速いシュートを打つ。
コーナーフラッグ近くのゴールライン際で、足をそろえている
DFを股抜きする。
足を止めているディフェンダーを一発で抜き去る
タイミングのいいシザースフェイント。
タッチライン際。ボールを縦へ出してスピード勝負。
そして「ストップスタート(止まる振り)」のフェイントで
マークを外し、センタリング。
相手監督があなたを警戒してマンマークをつけるくらいの
ドリブルの達人になれば、プロのスカウトがあなたに目を留める?

または、正確なクロス?
味方の頭にぴったり合うセンタリング。
近くにいる味方への丁寧なグラウンダー(ゴロ)のパス。
走り込むFWとGKの中間を狙ったいちかばちかの
スピーディーなアーリークロス。
キックフェイントで切り返してからピンポイントで
味方を狙う、カーブしない浮き球。
それらを成功率90%くらいまで磨き上げれば「チームの柱」になれる?

そして、ボールを受ける前の動き?
普通に後ろに下がってサポートに行き、足元でボールを受ける。
あるいは味方がトラップし、顔を上げたそのタイミングで
全速力で裏へ走り抜けてスルーパスを受け取る。
細かいパスが回る中、常に自分へのパスが来るように
小さなサポートの動きをいつも続ける。
「ボールを持っている味方」と「自分」。
その2人を結ぶ線の上に敵がいないように
0.1秒でも早くポジションを修正する。
味方がパスを出しやすいように。
この能力を極限まで高めたら、あなたはもっと
うまくなれる?

「これさえあれば、俺は上へいける」という何か。
それをひとつ見つけよう。
そしてそれを高めるために「考えて努力」して欲しい。
実験を重ねていって欲しい。
かつての僕がやったように。

無意味な筋力トレーニング、非効率な基礎練習をするよりも
「自分は、どんな選手になりたいのか」という目標。
それを目指す、効率の良い練習を考えよう。

それが見つかったら、もう一度このページの最初に戻って
ください。「どうすればうまくなれる?」の質問に、あなたは簡単
に答えられるでしょうから。そこからが、あなたの旅の始まりです。
新たなサッカー人生が始まります。
「自分の頭で考えながら、サッカーを試行錯誤する」という道が
スタートしていきます。

ちなみにこの質問に、僕はこう答えた。
「ボールが来た時に何をするか、という判断能力(を高める)」
自分の所にボールが来たとき。
数ある選択肢の中から、最適なものを選ぶ能力。
パスか?ドリブルか?センタリングか?
キープして時間を稼ぐか?
そんな力を高めようとしたんだ。

そう考えて努力を続けた3年間。
次のページにはその歩みが書いてある。

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no.3
判断を高めるために

僕の「考えながらの努力」。
それは判断の質を高めることだった。

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