no.6 恐怖克服法「Source of Soccer」

手順1 失敗の分析
ノート(またはメモ用紙)と、ペンを用意します。
そしてサッカーの練習を終えて帰宅した直後、机に向かって
「今日、どんなミスをしたのか」を書き出してください。


・左サイドにいた太郎君へのパスが強すぎたため、彼は
トラップミスをして相手にボールを奪われた
・後半開始直後、ボランチの位置でFWへのパスを相手の
センターバックにインターセプトされた
・こぼれ球をシュートしたが、ボールが右へそれる

ここでは丁寧に記入しましたが、自分で思い出せる程度の
簡単な文章でもいいです。
ここで書き出したミスの内容が素材となります。
練習試合や試合形式のミニゲームが望ましいですが、普段の
パス回し程度の練習を思い出しても大丈夫です。
書き出す個数の目安は50個程度です。

手順2 カテゴリーの分類
次にそのミスに共通点がないか探し、大きなタイトルをつけていきます。
例えば
・不注意、確認漏れ
・迷ってタイミングが遅れる
・ゴール前での恐怖、心配

こんな感じです。あなたの手で、自分に合ったカテゴリーを
作ってみてください。

手順3 優先順位
「手順2」で書き出したカテゴリーの中で、
「どれを一番優先的に直したいか(改善したいか)」
を決めます。

あなたのポジションやプレースタイルによって変わります。
僕が今考えるとすれば
「ボールを受けたとき」になりますね。
トラップとワンタッチパス、シュートを含めた
「ファーストタッチ」全般を改善したいです。

手順4 理想のプレー
自分の「直したいカテゴリー」と、その具体的なミスの数々が
記載されているメモやノートが準備できたら次に進みます。
それを「理想的なプレー」に置き換えてみるのです。

・左サイドの太郎君へのパスが強すぎた

を例にすると、こうなります。

・パスの強さを調節して、太郎君へ正確なパスを出す

注意して欲しいのですが、ここで「詳細な結末」は不要です。
自分のプレーの範囲内で最善を尽くすというのが原則です。
現実の場面ではどんなに自分が良いプレーをしても、味方が
トラップミスする可能性は排除できません。
「自分ができるだけミスを減らす」ことを考えてください。

ほかにも例を挙げると

例1 試合前半、ゴール近くでGKとの1対1で正面にシュートを
放ってキャッチされてしまった

理想1 ゴールの右隅(左隅)へ丁寧なキックを蹴る。シュートを
放つ。

例2 相手チームのゴールキック(ロングパス)をヘディングでクリア。
しかし狙いを定めていなかったため、そのこぼれ球を相手に奪われる。

理想2 高くボールが上がっているうちに周りを見渡し、味方のいる
方向へできる限りヘディングする。

こんな感じです。

手順5 イメージトレーニング「恐怖克服法」
具体的なやり方に入ります。
イスに座るなど落ち着いた場所で行いましょう。

1.呼吸を落ち着けて、リラックスした状態で目を閉じます。
2.ミスの場面を頭の中にイメージとして思い描きます。
恐怖の場所(後述します)や頭が真っ白になるような、パニックの
気持ちもしっかり再現します。
3.目を開けて普通の精神状態に戻ります。
4.今度は「2.」の場面の感情(気分)だけを思い出します。
2~5秒間。
5.ふっと気持ちをゆるめて、また元の普通の状態に戻ります。
6.「4.」と「5.」を2、3回交互に繰り返す。
7.今度は「理想のプレー(手順4で考えておいた)」をイメージ
します。気持ちは冷静な、落ち着いた気持ちでいましょう。

トレーニングは以上です。

注意点・補足
・恐怖の場所、とは
体のどの部分で自分が恐怖、緊張、不安を感じているかということ。
胸を締め付けられるような感じだったり、みぞおちを突き上げる
ような違和感のこともある。
現在の僕の場合口の中というか歯の裏側辺りに
パニックになるような感触が走ります。
個人差が大きいです。

・一つの場面のイメージトレーニングを十分に行ったら、次は
新しいほかの状況のイメージを始める。
一日に目安としては3~5個(のミス)のトレーニングです。
時間は15分以内を目標にしてください。
どんなに長くなっても30分以上はやらないこと。

僕のところに「一日中恐怖克服法をやっていたら気分が悪くなった
(吐き気のような気持ちが続く)」と訴えてきた人がいました。

・できないことは、やらない
例えばあなたがボレーシュートが苦手で、うまく打てない。
そんなときこのイメージで目指すのは
「ボレーシュートを打たずに、ボールを足元でトラップする」
ことになります。
ボレー以外のプレーで処理する方法を考えてください。
実際あなたにボレーシュートの技術がない場合、いくらテレビなどで
記憶した「ボレーシュートのイメージ」をしてもまず効果は
望めません。
できるようになりたかったら、現実世界で(ボールを使って)練習
しましょう。

・判断点
この「恐怖克服法」で重要なのは
「7.」の理想のプレーを描くときに
恐怖や緊張、集中の欠けた気分が減っている(消えている)かどうか
です。

そして効果が表れるまでは2、3週間かかると思いましょう。
1週間に4日以上サッカーに励んでいる人の場合の目安の期間です。

・トレーニングの簡略化
2段階に分けて考えてください。
(1)効果が出るのか確かめる
一番直したいと思ったカテゴリーをまずは克服してください。
書き出した一覧のミスを全てイメージトレーニングし、その後は
「今日そのカテゴリーでミスした具体的な場面」を
家に帰ってから思い出し、恐怖克服法をやる。
それに実践を続けてみてください。
これを続けることで、あなたのプレーが変化するかどうかを
確かめます。
一日5分程度の実践を2週間から1ヶ月続ければ、効果が出るはず
ですから。
もし万が一効果がないようだったら、教えてください。

変化が出た。どうやら効果がありそうだ。
そう分かったのなら、(2)に進みます。

(2)克服法の簡略化
ここから先は自由です。1つのカテゴリーに絞って淡々と
「恐怖克服法」を続けてもいいですし、何か大きな弱点や
苦手があったら、それもトレーニングメニューに追加しても
構いません。
あなたのプレースタイルや目標とする選手像に応じて
メニューを柔軟に変更してください。

あなたがFWのポストプレーヤーならば
「相手を後ろに背負ってのトラップとパス」を。
ドリブラーならば
「ドリブルを仕掛けて相手に勝負する」。
オフザボールの動きを大切にしたいなら
「サポートの動きに素早く入る。裏のスペースへ走る」
を集中的に克服するとよいでしょう。

・全部をやる必要はない
その日の「思い出せる全てのミス」を克服する必要は
ありません。大切なのは継続すること。
やり残しがあったとしても、継続していれば効果は現れます。

・終了
「もうこれで十分、恐怖やうっかりミスを減らすことができた」
と感じた場合、このトレーニングは終わりにして大丈夫です。
遊びのサッカーなど、比較的弱いモチベーションでサッカーに
取り組んでいる人ならそこそこの出来でトレーニングを終了して
もOKです。

・補助トレーニング
「イメージする、という行為がうまくできない」
という方のために、より難度の低い補助トレーニングも用意して
あります。
「丹田呼吸法」と「残像トレーニング」です。
やるかやらないかはお任せします。
自分の状態、現在の実力に合わせて採用するかどうかを
決めましょう。
ブログ記事へ
丹田呼吸法
残像トレーニング

2018年9月 無料公開することにしました。
それに伴い、若干の文章の修正を行うことにしました。
古いバージョンの受講者にはご理解願います。

このページの内容に関する問い合わせは、こちらへどうぞ。
naoki_hamamoto@hotmail.com

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