no.1 ただ練習してもうまくならない

もっとサッカーがうまくなりたい。レギュラーの座を、掴み取りたい。
そう考えて、あなたはがんばる。
今の悔しさをばねに、一生懸命がんばる。

寒さに凍える真冬の朝6時。あなたは目覚める。
今日も朝練に行かないとな。よし、起きよう!
そう思い体を起こそうとするが寒くて体が動かない。
刺すような寒さと、心地よい眠気。体中の疲れ。
このまま寝ていられたら、どんなに幸せだろう。
そんな気持ちを振り払い、強い決意で起き上がる。
着替えて朝食を食べ、学校へ出発。
学校のグランドに到着し、練習開始。
授業には力が入らず、うつ伏せで眠る。

放課後の練習が終わったあと。
照明がついた、薄暗いグラウンド。
あなたは居残りで練習する。
インサイドキック。インステップキック。
少しでも正確なキックを蹴りたいから。
地道な努力をずーっと続けている。

練習が始まる直前。
あなたは積極的に準備をする。
ボールかごを出す。コーンを並べる。ラインを引く。
何人かと共に重いゴールを運ぶ。
練習中も、誰よりも先に道具を準備。
ビブス(ゼッケン)を配る。マーカーを置く。
後片付けでも同じ。
トンボ、ブラシでグラウンド整備。
散らばったボールを回収。
ラインカー、飲み物のボトルを片付ける。

辛い走りも手を抜かない。
ほかの人が「いやだな」「帰りてえよ」などと愚痴っていても。
あなたは前向きだ。
「がんばるぞ!」
でもやはり不安だ。胸のあたりが締め付けられる感じがする。
下痢のような腹の違和感を感じる。
そして、走りのトレーニングが始まる。
あなたは全力で走り先頭のグループについていく。
半ばあたりから息苦しくなる。肺の「苦しさ」がどんどん大きくなる。
それでも歯を食いしばり、ゴールまで走り抜ける。
その後激しく息をしながら休憩する。
練習メニューを思い出すと「これをあと5回もやるのかよ」という
絶望感に襲われる。もういやになる。
でも気持ちを奮い立たせ、次の一本に臨む。

こんな努力を続けたあなたは、こう思うことでしょう。
「誰よりも練習したんだから、うまくなれるはず」
「雑用を率先してやったから、コーチの評価も上がるはず」
「こんなに苦しんだんだから、絶対にうまくなる」


でも実際、どうですか?
うまくなってないですよね。
このサッカー部に入部してから今現在まで、
あなたと「うまいヤツ」との差はちっとも縮まってない。

「どうしてなんだろう…」あなたはそう思いませんか?
でもこれ、当たり前です。
努力の質が、悪いんですから。

・僕の体験
僕がこれに気付いたのは、ある本との出会いがあります。
僕は2001年~2003年の間、高校のサッカー部に所属していました。
その高校では「学校の校舎周りを90秒以内に走る(一周する)」
というトレーニングをよく行っていました。

僕は走るのは苦手です。
だからいつも力を振り絞って走り、
やっと制限時間内に走れる位でした。
少しでも気を抜くとタイムオーバー。

ところが一冊の本との出会いにより、嘘のように
走るのが楽になったのです。
その本は「ワールドクラスになるためのサッカートレーニング」
です。

その本は体の使い方についての本でした。
体をゆるめること。
太ももの裏を使って走ること。
そんなことが書かれていました。

そのトレーニングを数ヶ月続けてみたところ、劇的に変わったのです。

今まで一生懸命走っていたのにその後は、体の余分な力を抜いて
すーっと滑るように、風を切るようなさわやかな気持ちで
走れるようになりました。
そして簡単に時間内に走れるようになったのです。
みんなが苦しそうにしている中、一人だけ涼しい顔で
走れるほどの走力が身につきました。

これは僕にとって衝撃的なことでした。
なぜなら、これまでの考え方を全てひっくり返されたからです。
僕はこの本に出会う以前、体力をつけるため一生懸命
がんばってきました。
家の周囲を走る。坂道をダッシュする。
先生の前と同じくらい全速力で。息苦しくなるペースで。
その結果として、チーム内ではトップクラスの体力を
手に入れていました。
「苦しくてもがんばれば、成果が出る」
そう信じるだけの結果が出ていました。

ですがその本のトレーニングは、部活動でのランニングを
大幅に楽にする効果があったのです。
しかも苦しくない。疲れない。

僕はこの経験から、次のことを学びました。
「何も考えず、がむしゃらに努力するよりも。
頭を使いながら、本を読みながら努力した方が効果がある」と。

・考えながらの努力、とは
それで「頭を使いながらの努力」というのがどんなものかというと…
辛い思いをしながら毎朝起きる。その中で
「どうすればもっとラクに起きられるか」と考えてみよう。
生活習慣を工夫し、もっと元気良く起きられるように。
「時間管理術」みたいな本を読んでもいい。
このHPの「メルマガバックナンバー」というページでも、少し
生活習慣のコツについて書かれているから、興味のある人は
読んでみてください。

練習でのランニングを全力で走り続ける。それよりも
「どうすれば走るのが速くなるか?」と考えてみよう。
ランニングフォームを工夫したり、上で紹介した高岡英夫さんの
本を読んでみたりして。「全力で走る」ことと「走るフォームを
良くする」こと。その2つを同時に行ってこそ、あなたの足は速く
なる。体力は伸びていく。

サッカーがうまくなりたいんだったら、
どうすればうまくなれるか考えよう。
これは、すごく大切なことだ。

「苦しみの量」と「上達するスピード」はあまり関係がない。
激しいランニングメニュー、筋トレメニューを行っても、決して
成果を出すこともなく、消えていく選手がいる。僕の友人には、
そんな人はたくさんいた。マンガなどに描かれている「根性で
長時間たくさん練習しろ!」というあの教え。あれにそのまま
従ってはいけない。コーチや先生の教えを聞きながら、地道に
技術の修正を続けてこそ、あなたはうまくなれる。

「サッカーの才能は生まれつき、下手なやつは下手なまま」
そんな常識がこの世にあるけど、そんなの嘘だ。中田英寿は
17歳の頃、全く注目されてはいなかった。彼は「自分の頭で
考えながらの努力」続けたからこそ、3年後のフランスワールド
カップ予選でレギュラーを取れたんだ。

冷静な。
落ち着いた気持ちで、毎日のサッカーをする。
その中で生まれた疑問を、じっくりと考えてみる。
いろいろ試行錯誤して、新しいテクニックを試してみる。
そんな作業を続けることで、あなたは未来へ進める。
今よりも高い世界へ上がることができる。

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no.2
どうすればうまくなれる?

じゃあ、どうすればいいのさ!

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